御料理 最なか出汁巻きにはいとうさんの卵の
「密度」が必要でした。
「密度」が必要でした。
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オーナーシェフ 寺井憲史さん Norifumi Terai
- あやか
最なかさん、いつも賑わってますよね。ランチも予約しないといけないくらいだと聞いています。
- 寺井さん
ありがとうございます。ランチにはお一人で来られるお客様もいらっしゃいますよ。ランチもコースのみなので、1時間半~2時間かけてゆっくりと楽しんでいただいています。
- あやか
母と祖母がランチに行ったことがあって、とても美味しかったと話していました。私もランチしたいな~。
今日は定休日にお邪魔させていただきましたが、特別に陶箱の「合わせ箱」に入っているだし巻き卵を作っていただけるそうでありがとうございます。- 寺井さん
準備万端ですよ。早速作りましょう。
- 寺井さん
いとうさんの卵は、店を開く前から知っていました。前職で旅館で働いていた時に使わせていただいていたのです。鮮度も美味しさも知っていましたので、店でも使いたかったのですが、開店からしばらくは手頃な卵を使っていました。ただ、その卵では出汁巻きが作りにくかったんです。
- たいき
作りにくいとはどういう理由でですか?
- 寺井さん
いとうさんの卵に慣れていたため、水っぽく感じてしまったんです。水っぽいと出汁巻きがまとまらないんですよ。結果的に出汁の分量を減らさないといけなくなるんです。出汁を減らすのは・・・味に影響が出ます。そんな時に、ちょうどいとうさんからご連絡をいただいて、早速取引をお願いしました。
いとうさんの卵は、密度・濃度があります。黄身も白身ももっちり盛り上がっています。だから出汁巻きでも綺麗にまとまるんですよ。
- 寺井さん
はい出来上がりました。
- あやか
ありがとうございます。出汁巻きを美味しく作れる卵として選んでいただき嬉しいです。
黄身と白身のもっちり感、ウリにします!
寺井さんの卵使い。
- あやか
出汁巻きの他にはどんなお料理に使っていただいているんですか?
- 寺井さん
有田どりの胸肉を低温調理してお出ししていて、春菊のソースをかけています。春菊を少し緩めに茹でたゆで卵に混ぜてソースにしているんです。他には、茶碗蒸し、デザートなどにも使っています。特に、バニラアイスなんかは卵の質がわかりやすいんですよ。生クリームと合わせて冷やした時に、いとうさんの卵はこくと粘りがあります。アイスクリーム好きな人や、自分でバニラアイスを作ったことがある方には「おやっ、いい卵なのかな?」と気づいていただけると思います。卵を使うメニューは季節によって他にもありますが、コンスタントに1週間で約5キロ(ダンボール1箱分)の卵を使っています。
- あやか
どれも美味しそう~。丁寧に卵をお料理してくださってありがたいことです。
バニラアイスはわかりやすいのですね。私たちの営業トークに加えさせてください。
ところで、寺井さんにとって、卵はどんな食材ですか?- 寺井さん
卵は僕にとっては、食材と食材をつなげるもの。友達と友達をつないでくれる人っていますよね。そんな存在です。
- たいき
食材同士を仲良くするなんて、卵って良い役回りをしてるんですね。
ちなみに、こんな卵があれば良いなというものはありますか?- 寺井さん
ちょっと不可能かもしれませんが、卵だけでご飯が食べれる卵。出汁や醤油とか入れずにご飯が食べられる!みたいなものがあったらいいですね。
- あやか
なるほど〜、ユニークですね。卵は、鶏さんのご飯で成分が変わってくるんです。オリジナル飼料が進化すれば、いつかそんな時代も来るかもしれません。
- 寺井さん
個人的に好きな卵料理は、オムライスなんです。若い頃にオムライス屋さんで働いていて、毎日何食ものオムライスを作っていた時期があるんですよ。卵料理って、簡単で難しい。オムライスはその簡単で難しい代表的な卵料理です。
- あやか
そんな寺井さんのオムライスも食べてみたいです。オムライスは家庭でも作る方が多いと思うのですが、プロが作ると全然違いますよね。誰もが家庭で簡単にできる食べ方でオススメを教えていただけませんか?
- 寺井さん
これはもう、卵かけご飯!炊きたてのご飯にレモングラスのたまご。そこにだし醤油を入れて食べれば・・・。ふわりと爽やかな香りが漂い、風味もほのかに爽やかさを感じるんです。実はお店でもお客様に卵かけご飯をお勧めしているんですよ。新鮮な卵なので、是非味わっていただきたくて。
実は・・卵に合う出汁醤油を作っているんです。
- たいき
えっ。それは是非食べてみたいです!
- 寺井さん
では食べましょうか。先ほどの出汁巻きも一緒に、こちらでお召し上がりになってくださいね。
- あやか
こうやって寺井さんのお話を伺っていると、本当に料理を愛されているのだなと伝わってきます。今のお店は創作和食とのことですが、ずっと和食をされていたのでしょうか。
- 寺井さん
自分はいろんなジャンルの料理をしてきました。若い頃はステーキやフレンチも修行しました。そして開店の直前まで勤めていた旅館では、和食を勉強させていただきました。新しいメニューをどんどん作らせてもらい、楽しかったですね。
店を開くときに和食にしたのは、和食ならこれまで学んできたことを生かし、いろんなチャレンジができると思ったんです。例えば、和食にフレンチの技法を取り入れるとか。そういう思いでメニュー開発をしています。今後もカテゴリーにとらわれずに料理していきたいです。
- あやか
創り出されるお料理に卵も使っていただけるよう私たちも頑張ります。今日はありがとうございました。次は予約してランチに行きます!
写真撮影のために暖簾をかけていただくと、少しだけ暖簾を出しただけなのに
「今日、営業してるの?!」とお客様が数名やってこられました。人気ぶりを改めて感じました。
これからも「つなぎ役」になれる新鮮な卵をお届けします!
あとがき
店名は、「最中の月」中秋の名月からつけたそう。
暖簾には、月の他に猫ちゃんのシルエット。
長年、寺井さんご夫婦と一緒に暮らしてきた猫ちゃんだそうです。
亡くなってしまったそうですが、ご夫妻を支えてくれた存在だったそうで、暖簾に刻んだそう。
いつもお店のことを守ってくれています。